転職活動のまとめ
平成ぶりに転職活動をしたのでその記録。
はじめに
転職活動を始めたきっかけ
所属していた会社がグループ企業の一員となり→社長やルールの変更→組織再編成などを経て、誰に何の決定権があるのかがわからない状態が続き、自分に求められていることもつかめなくなった。
上司に質問してもはっきりとした答えは得られず、チームリーダーにも権限はほとんどなく、誰に相談すればいいのか分からないまま、与えられたタスクをこなす状態になった。
組織の計画も不透明で、社内プロジェクトであっても納期が迫ってからアサインされることが多く、理由も分からないまま作業を進める状況が常態化していた。
結果として、仕事は常に行き当たりばったりになり、根本的な改善や計画的な取り組みはほとんどできなかった。
また、社内にAWSでインフラを構築できる人材がほとんどおらず、少数の人に仕事が集中してボトルネック化していた。
「勉強して彼らの仕事を少しでも巻き取れれば」と考え、在職中からAWSの勉強を始めた。しかし実際は資格を取る前に辞めてしまった。
後になって思ったのは、私はコントリビュータのつもりで会社に文句と改善提案を投げていたけれど、会社からしたらクレーマーだったのかもしれないなということ。どっちみち信頼関係の構築に失敗している。
方針を決めるまでに考えたこと
退職後、生成AIなどがどんどん盛り上がってきて、自分で触ってみても「これたぶん人間の仕事はコーディングより設計とかになっていくんだろうな」と感じたため、そちらに舵を切ることにした。「要求~要件定義を元にインフラ設計してコーディングが必要な部分を洗い出してAIに頼む」という想定でSAA取得に向かった。
前職での不満を元に、「会社に求めること」として以下の項目を上げた。
- プロダクトの継続性
→人が変わってもプロダクトを継続していくための施策があること。属人化の排除、引継ぎ等
- プロダクトやシステムを長期的に運用していくための施策
→実際現状がどうなっているかはともかく「やっていく気があること」が大事
- 意思決定の透明性
→これはシンプルに前職場で意思決定フローが不透明で嫌だったので
- 現場からの不満や改善提案を吸い上げる仕組み・フィードバックを行う仕組み
→同上。
- 専門も業務領域も全く違う社員全体を公平に評価する仕組み
→これに関しては「公平に評価するのは難しい」って認識さえあれば十分
全体的に、方針の決定と評価は会社サイドでやってもらうしかないのでそのあたりを求めることにした。
こだわらなかったこととは
- スキルスタック(こだわるほどのスキルは無い)
- 年収(そもそも適正値がよくわからないので上がればいいなくらいでやっていた)
- ポジション(会社との期待値のすり合わせができていればどうとでもなる)
- リモートワーク(とはいえ関東平野に引っ越す気はない)
- 男女比(興味が無い)
- 年齢(興味が無い。とはいえ社歴の割に若手に偏ってると「長く在籍しづらいのかな」とは思う)
実際にやったこと
企業探しはFindyで行った。周囲のエンジニアたちの評判がよかったため。
職務経歴書の作成については、自分で書くと「別に書くほどのことしてないんだよな」になってしまうので、ChatGPTの力を借りた。補足が必要な個所を指摘してもらう、愚痴ベースの体験談をいいように言い換えてもらうなど、結構役立ってくれた。
カジュアル面談には「カジュアル面談質問リスト」を用意して臨んだ。
リストの共有→面談→面談の内容を元にリストをブラッシュアップ→次の面談へ、という想定だったが、実際には複数社の連絡と面談の順番が一致しないため、ブラッシュアップはできなかった。残念。面談前にこっちの知りたいことを共有しておくのは良案だと思ったんだけどな~難しい
資格取得に関しては話のフックにもなるし、「たぶんこういう知識が必要になる」という主張ができたり、そのために自分から身銭切って動いてますよって説明にもなるので、正直ちょっと怯むくらい高かったけど費用対効果は良かったと思う。
カジュアル面談で話したこと
前準備
まず求人票を見て、良くも悪くも気になるところを上げておく。
求人票では主に「会社の施策が具体的に書かれているか」「資格手当などの記載があるか」「自動テスト等の記載があるか」などを見た。同じ会社の別のポジションの求人なども確認して、社内にどういう構造とどういう環境がありそうかも見た。
資格手当に関してはカネがほしいというより、「資格の価値を知っている」「技術知識に対して金を払う気がある」というところを見ているので、私が持っていない資格の手当でも良い。
気になるところの例:
- フラットな組織は不安
名ばかりであることが多い印象。単に声のでかい人や単に年老いた人が実質的な権力を持っているのに表面上は「フラットな組織」だから責任は取らないみたいなイメージ。あくまでイメージ
- 平均年齢が若いのは定着率が低そうで不安
- 求人票に固定残業時間の記載が無い
- そこまでスキル一致してないのにスカウト?なぜ?どういう働きを期待されているか聞いてみたい
- 自動テスト嬉しい
- SREがいるらしいのでSREの仕事についても聞いてみたい
- コーディングテストってどんなもの?
- 週次のタスク棚卸会は素敵、実際の話を聞いてみたい
逆に求人票で切ったのは「元○○所属」とかの肩書き推し、理想だけ並べて実際の施策についての記述が薄い、個人の努力を求める記述ばっかりでそれを支える会社としての仕組みについて記載が無い会社など。
まあそりゃ個人の努力は必要だしそういう人が欲しいのはわかるけどそこをオブラートに包む能力が無いのはダメです。
誤字脱字が散見される求人には「これはAI任せじゃなくちゃんと人間が書いてるな」みたいな安心感があった。新時代の安心感である。それはそれとして一旦Wordに貼りつけて赤波線が出るところは直した方が良い。
面談
カジュアル面談では会社のスタンスを中心に話を聞いた。私の中で「会社(トップダウン)でやるべきこと」と「個人でもできること」があるていど区別されているので、「会社が会社としてやるべきことをやっているか、やろうとしているか」の方に重点を置いた。
余談だけどキャリア実現とかは別に会社がやるべきことでもないと思っており(協力できるならそれはそれで良いことだけど)、そこを推している会社を見ると「いいから自分のやるべきことをやれ」と思う。福利厚生が厚すぎる会社もそう。いいから基本給を上げろ。
面談ではまず会社説明から入ってくれる企業がいくつかあった。企業HPも求人票も見てるのでほぼ知っている情報で、この時間いらないなと思いながら聞いた。逆に言うと新卒でもないのにそこまで気合を入れて"カジュアル"面談に臨むこっちがおかしいのかもしれない。
とはいえカジュアル面談は結構楽しかった。会社説明を聞いて、気になるところを掘り下げて、自分が前職で感じていた課題を話してみて、弊社ではこんな対応をしていてみたいな話をしてもらって、今回お話させていただいた会社はどこも「なんていい会社なんだ!」という気持ちで面談を終えた。
前述の質問リストはほぼ使えなかったとはいえ、面談前に「貴社求人票のここに魅力を感じています!ここ掘り下げさせてください!」みたいなメッセージを都度入れていたのも良かったと思う。緊張して聞き忘れるとかも無かったし、スムーズに回答を得られた。
カジュアル面談で「話せばよかった」と思っていること
これに関しては一点。
産休・育休等の制度が充実している会社があり、お話を聞いた時につい「独身者の負担が大きいということ?」と思ってしまった(口には出していない)。
過去にそういう会社(子育て中の社員のフォローを全部現場の独身者でやる)があったから反射的にそう感じてしまったのだけど、後になって「子育て中の方は急に休む必要があったりすることが多いと思いますが、その際の業務の引継ぎなどに関して会社として何か工夫していることはありますか」くらい聞いてみてもよかったかもしれないと思った。
転職活動を通して学んだこと
- 自分の苦手:
- 履歴書やスキルシートを飾ること
- 自己アピール
- 「人からの評価」を最終目標にすること
これは美点でも欠点でもあると思うのだけど、人に評価してもらおうという気概が薄い。社会に向いていない。
自覚はあるのでもうとにかく正直に振舞う以外の道が無いなと思った。
自己アピールができないのはもう仕方ないので無理なので自己卑下をしない方向に頑張ろうと思う。過小評価しない、過大評価しない。しかし評価って難しい、自己評価すらとても難しい。この辺りは個人的に目標を立てて達成度で計っていくしかないかなと思う。
まとめ
- 会社を探す前に自分の中で軸を決めておくと良い
- 会社に求めることと自分でやることを分ける。全部を会社に求めると迷子になる
- 求人票を見るときは他社と見比べると良い
- 同じ会社の別のポジションの求人も見ると良い。目指せそうなキャリアとか給与レンジとかの見当がつく
- 面談前に聞きたいことをピックアップして共有しておくと面談の満足度が高い
余談:面接について
面談の時点で
- 生成AI利活用の今後とそれを前提にしたこれからの働き方について認識合わせ
- AIに任せられる仕事と人間がするべき仕事について認識合わせ
- スキル不一致の不安について相談
- 希望ポジション(特に無し)
- 希望年収(上がればいいな~程度)
とかまで話していたので、面接の場で「もうだいたい聞いたから話すことがない」とコメントをいただいた。こちらとしても聞きたいことは全部聞いてしまっていたので聞くことは特になく、十五分足らずで面接は終了となった。
結論: 準備は大事。